有名人百合系SSまとめ
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┣栗山千明A01
作者:メイ
■千明の調教〜前編〜


一恵は連日の多忙なスケジュールから開放され、久しぶりの休日を、部屋でのんびり過ごしていた。

丸一日自由な時間なんて滅多にない事だし、久々にショッピングにでも出掛けようかな?と 上機嫌で身支度をしていると、突然携帯が鳴り出した。相手はマネージャー。なんとな〜く嫌な予感がする。

突然の仕事とか、勘弁してよね・・・。

本当に久しぶりの休日。出来れば誰にも邪魔されたくない。
少し煩わしい気持ちを抱えながら、それでも明るい声を徹して電話に出た。

『おはようございます。』

一恵の挨拶を聞いていないのか、マネージャーからの挨拶はなく、 その代わりとても興奮した様子でこう言った。

『一恵!!ぶ・・・ブィッグニュースなの!!!!』

『?』

マネージャーのあまりにも嬉々とした声色と大声量に、何の事だかサッパリ見当もつかない一恵は、 とにかく落ち着いて。と声を掛ける。

『一体、何があったんですか?』

すると、マネージャーは一息つき、驚かないでよ?と嬉しそうに話し出した。


『今期にクランクインする栗山千明ちゃん主演の映画、あったでしょ?』

『ハリウッドの、ですよね?』

『そうそう、それ。実はさ、あれ千明ちゃんの意向で降板になったんだけどさ』

『そうなんですか。』

『で、話は急展開しちゃうんだけど!!!』

『・・・?』

『我が吹石一恵が代役を勤めることになりましたーーー!!!』

『ええぇぇぇぇぇぇっ!!!!???』

思ってもみなかった展開に、胸が高鳴り頭がくらくらする。
そんな事ってアリ!!??嬉しい!!!やばいよ!!
一恵は、ピョンピョンと飛び跳ね喜ぶと、ふとダイニングに立て掛けられた鏡に映る 自分の姿を見て、浮かれすぎている事に赤面した。一度咳払いをし、 飛び出そうな心音と共にマネージャーの言葉を待つ。


『一恵、これはビッグチャンスなんだから。もちろんやるよね?』

『はい!!もちろん!!やらせてください!』

『そうでなくちゃ♪』

その後、2、3歓喜とも奇声ともつかない言葉を交わしマネージャーと電話を切ると、 一恵は何度も自分のほっぺをつねり、夢じゃない事を確かめた。 こんなに気分がいい日はない。自分の事を、製作サイドが認めてくれてるんだ。 なんとしてもいい物を作らなきゃ。
ショッピングに出掛けることも忘れ、 あれこれと考えていると、一恵はふとある事に気が付いた。

『そういえばこの映画、続き物だったんだよね・・・。』

栗山千明が辞退した今回の映画の第1作目は、彼女が抜群にはまり役だった。
数奇な運命をたどる少女と、人には言えない過去を持つ男との 運命的な出会い。そしてそこに芽生える、危なくも切ないラブストーリー。

一恵は途端に不安に駆られた。あの映画は、栗山千明以外ありえないと 誰もが口々にそう評価していたから。その映画自体、とても多くの 謎に包まれたアウトローな作風。ミステリアスな雰囲気を持つ栗山千明は、本当に適役なのだ。
笑顔が可愛いだとか、明るいイメージが売りの自分に、果たして代役が務まるんだろうか?

・・・でも・・・やらなきゃならない。いや、やるしかないんだ!

改めて、強い決意を抱いた瞬間。玄関のチャイムが鳴った。


・・・・!!??

一恵は、インターフォンのモニターに映るその人の姿に、忽ち困惑の色を浮かべた。


そこにいたのは・・・長く艶やかな黒髪を靡かせ、一点の無駄もない美しい顔立ちの・・・ あの栗山千明。本人だった・・・。映画を辞退したはずの彼女が、何故ここに?

嫌な胸騒ぎがする。でも、出ないわけにもいかない。受話器を取らずに、そのまま玄関のドアを開けると、
不敵な笑みを浮かべた栗山千明が、こんにちは。と丁寧に挨拶をする。

『こ、こんにちは。・・・あ、あの・・・。』

もしかして、代役のこと?今更キャンセルの申し出とか・・・ないよね?
不安でいっぱいの一恵の声は、少し上擦っていた。
そんな一恵の心中を見透かすように、千明がフッ・・と微笑を浮かべる。

『一恵さん、心配しないで。あの役はあなたにあげるから。』

敵対心でもなく、馬鹿にしたような感じでもないが、どことなく 上から物を言われているような感覚に陥る。
住所は調べて来たんだろう。いや、でも。なにが目的で?その意図が分からずに体が強張る。

一恵が何も言えずに黙っていると、徐に千明が話し出した。

『あの役ね、私からあなたを推薦してみたの。』

『・・・え?』

予想もしなかった言葉に、一瞬戸惑う。千明さんが?私を?なんで?

『あなたとは、共演した事はないけど前からずっと気になってたのよ。 あなたは私が大好きな女優さんなの。だから、ね。ご挨拶にきたの。』

その一言で話が読めた気になり、一恵は一気に安堵感が込み上げて、心なしか顔に覇気が戻っていた。

『そうだったんですか。・・・あの、でも・・・私なんかでいいんでしょうか・・・?』

恐縮しながら俯く一恵の側に、千明が近づく。

『あなたなら大丈夫よ。』

そう言うと、千明はそのしなやかな指先で一恵の髪をふわりと掻き揚げた。

『そんな事より・・・』

『!?』

一恵は戸惑う間もなく千明に唇を奪われた。柔らかくて暖かい唇が重なり合う。

『・・・あの、千明さん!??』

美しく整ったミステリアスな千明の眼に見つめられ、思わず赤面してしまう。
何がなんだか分らず、軽いパニックに襲われていると、またキスをされた。
今度は千明の柔らかくてぽってりとした舌が侵入してきた。

『・・・や・・・』

『嫌なの?一恵ちゃん。』

目の前の現実に混乱しながらも、あまりにも妖艶なオーラを放つ千明に 身動ぎできずにいると、千明の冷たい手が一恵の首筋に優しく爪を這わせながら撫でる。
ゾクゾクと敏感に感じる一恵を抱き寄せると、千明は耳に触れそうなほど近くで囁いた。
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