2007/03/18
┗由利×七B01
作者:不明
風邪をひいてしまった・・・。
「ゴホッゲホッ・・・ハァ…明日仕事あるやーん・・・」
まぁ、でもこれはある意味・・・
「・・・ラッキー?(笑)」
こんな状態だったら、休んでも誰も文句言われへんやろー♪
でも何で?こーんなに健康体なのに何で風邪ひいてしもたんやろ?
撮影ん時、岡本さんが風邪薬飲んでたのがミョーに引っかかる・・・めっちゃ不本意や!
「ゴホッゴホッ・・・」
結構辛いな・・・水・・・あったっけ?・・・薬飲まな。その前に食べないと。
・・・立つの面倒いな。こんな時、1人暮らしはきつい。なんつーか・・・
「孤独や・・・」
いつもやったら、WildeやMonet、Chopinなんかがあれば孤独を感じることなんて、ない。
でも、今は・・・いらない。そんな気力ない。
「ゴホッ・・・やばい、寂しい・・・」
・・・ああ、そうやんなー。今、欲しいのは・・・
―――ピーン・・ポーン・・・・
控えめに、チャイムが1回。
―――ピンポーン・・・ピポピンポーン!!
今度は軽快に。・・・って、鬱陶しいっちゅーねん!誰や、こんな時間に!!
居留守を決め込んだ次の瞬間・・・
―――ガチャッ
エェ?!・・・鍵、開けてるし!
・・・ちょっと、待って・・・うちの鍵持ってるのなんて、1人しか・・・
「・・・」
迷わずに、この部屋に向かってくる足音。
思わず部屋のドアを凝視する。何故か、胸が高鳴る。
―――カチャッ
ドアが開き、ひょこっと顔を覗かせたのは――
「ゆりっぺ・・・」
その顔はニコッと笑い、顔の横でピースを作る。
「イェイ♪」
イェイって(笑)・・・こんな時間に・・・スーパーの袋ぶら下げて・・・
「・・・何で?」
「何ででしょう?(笑)」
「今、1時よ?夜中の。」
「うん、暗かった。」
「危ないやん。・・・怖くなかった?(笑)」
「タクシーで来たよ。」
「・・・明日、仕事やで?・・・ゲホッゴホッ」
「風邪ひいたくせにー」
「うっ・・・ケホッ」
あぁ、今めっちゃ間抜けな顔してるんやろうな。
でも、ゆりっぺはさっきから、ずっと笑顔で。心から、安心する・・・
「薬飲み?」
ゆりっぺは袋からペットボトルと箱を取り出す。
と、ここで幼い悪戯心が芽を出す―――
「飲めへーん」
「だめー。飲まなきゃ治んないよ。」
「起きられへん。飲ましてー」
「どうやって?」
「口で。」
「やだー」
―――即答かい!
「風邪うつったら、歌えない。」
・・・そこで更なる悪知恵が
「・・・歌と私と、どっちが大事?」なーんて愚問。
ゆりっぺは、なんて答える?
「・・・」
長い沈黙に、ゆりっぺの顔を覗きこむ。たぶん、潤んだ瞳で。
ゆりっぺから笑顔が消えていた。・・・少し、不安になる。
彼女はゆっくりと錠剤を取り出すと、私の口に入れた。
そしてペットボトルの口を開ける。
私は水を飲もうと、上体を上げる。しかし、彼女の手に制せられる。・・・?
開けたペットボトルの口を、彼女は自分の口に運ぶ。
水を含んだ口は、そのまま私の口へ―――
冷たさを失った水が、心地良い温度で喉を流れてゆく。同時に激しい動悸が胸を襲う。
「・・・っ、風邪うつったら歌えへ――」
「AZUKIさん」
「・・・AZUKIさんが大事だよ」
「・・・うん。」
「でも、私は歌うよ。何があっても。」
・・・ああ、そうやね。
「私を誰だと思ってるの?」彼女の声が低くなる。
「・・・ゆりっぺはゆりっぺよ?(笑)」
「GARNETの歌姫だよ?私しか歌えない。」
「・・・」
「歌姫、言ったもん勝ち(笑)」
あーもう。かっこよすぎるわー。かなわんなー、この娘には。
この世界にあるもの全て、移り変わってゆくけれど、
今のところ、この娘にだけは飽きそうにない。