二次元キャラ系SSまとめ
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┗希美×栄田A01
作者:不明
◆キャスト
田村希美…常盤貴子
栄田千春…深津絵里
…ちょっと、何これ栄田さん!ちゃんと掃除してんの!?」
希美は真昼間に千春の部屋に上がり込むなり、いきなり千春に巻くしたてた。
今日は千春の仕事がオフの日で、希美は千春の部屋に遊びに来たのだ。
「あーもう、うるさいわねぇ!あなたに言われなくったって掃除しなくちゃいけない事
ぐらい分かってるわよ」
千春はそんな希美に睨みを利かす。
この様なやりとりは日常茶飯事。
他の人から見たら険悪なムードだが、二人にとってはもう当たり前になっていた。
希美が温泉宿に売られそうになったのを千春に助けてもらって以来、何だかんだで縁が続き、
今では仲の良い友達の様な関係になっている。

「ほら、栄田さん、あっち行ってて。掃除するから」
希美はベッドのほうを指差すと、掃除機を引いて千春をその方向へ追いやった。
「ちょっと、あなた何すんのよ!!
あたしはゴミや洗濯物と違うのよ?
そんな非人間的な扱いなんかしていいと思ってるわけ?」
ベッドの上にどさりと座ると、千春はわあわあとわめき散らした。
すると、希美は千春の方に体を向け、目を輝かせる。
「わぁ…栄田さん、ゴミと洗濯物なんてナイス喩え!
でも、それ栄田さんの被害妄想だから。
あたしそんな事言ってないし」
そう言うと希美はまた掃除の続きを始めた。
千春は何だか面白くなく、口をへの字に曲げる。
すると、何を思ったか、急にニヤリと笑った。

「もう、希美なんて大っ嫌い。
今日、せっかく夕飯に国産牛奮発しようと思ったのに」
千春は勝ちを見越した表情をしながら、腕を組んで希美を見上げると、これならどうだと
でも言うように、最後に含み笑いまでさえした。
そんな千春を見て希美は目をしばたかせる。
一瞬考え込む素振りを見せると、希美は千春の元にすたすたと近付いていった。
「ふーん、あたしは千春の事大好きだけど…」
そう言って、千春の肩に手をかけると、華奢な体をそのままベッドに押し倒した。
千春は突然の事で、何が何だか分からずに身動きが取れない。
二人の視線が合わさり、互いの瞳に互いが写り合うほどの近距離。
「ちょ、ちょっと、あなたっッ!?何してんのよっ」
千春は希美の肩を押し、何とか押し退けようとした。顔はかぁっと赤く染まっていく。
「えぇー、せっかくのいいムードで『あなた』はないんじゃないの」
希美は明らかに千春の反応を面白がっている。
千春はますます顔を赤く染め、更に希美を楽しませた。

「あたしの事、ホントに嫌い?」
「……え」
希美は千春が答えるのを待たずに、千春の額、頬、首筋と、いたる所に口づけた。
「やだぁッ、の、希美ぃ…やめてよぉ」
千春は必死に荒がう。
そして、希美はようやく顔を上げた。
「じゃあ言ってよ、好きって…言ってくれたらやめるから」
希美はくすりと笑うと、千春を見つめ、頭を撫でた。
千春にとって希美の視線は痛く、羞恥心を更に募らせる結果となった。
「………なに言ってんのよぉ…す、好きに決まってるじゃない…」
千春は蚊の鳴くような声で言葉をつむぐと、ぷいとそっぽを向き、目をぎゅっと瞑ってしまった。
「栄田さんの口から本当にそんな言葉が聞けるなんて嬉しいなぁ。かっわい〜」
思わず希美は千春に抱きついた。

「ど、どきなさいよ〜約束したでしょ!!
それに、『栄田さん』はやめてって言ってるじゃない!」
希美はその言葉に素直に従い、千春を離し、ベッドから降りた。
千春はほっと胸を撫でおろす。
「じゃあ、千春!
国産牛よろしくね!!」
突然の言葉に思わず千春は目が点になった。希美は満面の笑みで千春を見つめている。
「もう訳わかんない…まぁいいわ。
可哀想な希美ちゃんのために奮発してあげる」
ふっとため息をつき、呆れた声を出すと、眉をしかめつつも微笑んだ。
それに釣られるかのように希美も声に出して笑った。
「じゃあ、早く掃除しちゃうね」
希美は千春に背を向ける。
「よし、国産牛ゲットぉ〜」
千春に聞こえないように小さな声で呟くと、希美はガッツポーズをした。
「え、なんか言った?」
「いえいえ〜」
希美は鼻唄を歌いながら掃除に戻って行った。
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