二次元キャラ系SSまとめ
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┣天野×杉G02
作者:リン
◆キャスト
天野ひかる…深津絵里
杉裕里子…鈴木京香
じゃあ?
ほんの少し、身を乗り出して、次の言葉を待つ。

「先生が、そんなにイヤって言うんでしたら」
「何よ」
「…」
「…」

少しの沈黙。
意を決したように開かれた口から飛び出したのは、


「………すぎさん」




私は力いっぱい吹き出した。

「なっ!なんでそこで笑──!」
「…っ」

もう、止まらない。
また頬を膨らませるのにさらに笑いを誘われて、むせて、涙目になりながらお腹を抱える。
隣で怒りながらも背中をさすってくれた天野のお陰でようやく落ち着いてきた頃には、その天野も笑いをこらえていた。

「あなた……、言うに事欠いて、…杉さん?」
「だって他に思いつかなかったんですから…、っふふ」

静まり返ってはいないまでも、それなりに静かな喫茶店の一角。
一緒に笑いを噛み殺しながら、ちょっとだけ残念な気持ちを奥にしまいこむ。

もしかしたらほんの一度でも、話の勢いで、裕里子、って呼んでくれるんじゃないかって、思っちゃった私が馬鹿だった?
やっぱり柄にもない事、考えない方が良いわね。

「…先生?どうかしたんですか?」
「別に。どうもしないわよ。あー、呆れた」


名前はまだ、早いか。

それにしても杉さんはないわよ。天野。

「やっぱり、先生は先生が一番です」
「…あっそ」


ドキドキして損した。
でも、そんな天野がやっぱり愛おしくて。
これが惚れた弱みってやつな訳ね、なんて思いながら、並んで歩きつつ盗み見る横顔。
いつか。いつかその口から名前を呼んでくれたら。
全く、いつの事やら、だけど。


「あっ!」


天野が急に立ち止まって、すっとんきょうな声をあげた。


「今度は何」
「先生、裕里ちゃんなんてどうですか?」
「…。馬っ鹿じゃないの?」


天野がまた頬を膨らませる。
今日はよく膨れる日だ。

「もぉ〜。ひどくないですか?その言い方〜」
「率直な感想言っただけでしょ。………ひかる」

不意に。
呼んでみた名前。
ぴくんと反応した天野がこっちを向く。

「…、」
「だった?あなたの下の名前」
「そうです、けど…」
「ふぅん」


変な先生、って唇を尖らせてまた隣に並んだ天野の耳が真っ赤に染まっていたのは、寒いからだけじゃきっとない。
──呼んで貰うのはまだ早いけど。
私が呼ぶなら出来るじゃない?
これでしばらく遊べそうだ、そう思ったら、なんだか楽しくなってきた。

医務院まではまだ遠い。
もう一回呼んでやろうかと様子を伺いながら、のんびりと並木道を歩いていく。


昼下がりの今日の空気はいつもより少し、温かい。
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